みなさんは、なぜその会社で働いていますか?
少子高齢化社会が進み、働き盛りと言われる20代~60代前半の人口減少が顕著となっている今、採用において人は会社から選ばれる時代から会社を選ぶ時代へと変化をしてきました。
また、フリーランスをはじめとした雇用形態の多様化によって、働くことと会社に属することが必ずしもイコールでは無くなっています。
そのような中で、会社に属して働く意味づけは人それぞれです。
今回は、会社に属して働く意味として多くの人が重要と位置づけている「人」にフォーカスして、効果的な採用広報活動の事例を紹介したいと思います。
「どこ」で働くのかではなく、「誰」と働くのか
採用において「どんな人と働くか」は、会社選びにおいて大きな役割を持っています。その「人」を露出するのに効果が高いのは、代表やコアメンバーを始め、社内で活躍しているメンバーのインタビュー記事です。
採用におけるインタビューの位置付け
自社サイトであるか他社媒体であるかに問わず、採用において社内メンバーのインタビューを掲載することは、主に2つの視点において有効です。
①広報視点の役割
インタビューのような読み物の場合、必ずしも求職者が読んでいるとは限りません。
「面白そうな記事だった」「タイトルが気になった」など、フックがどこであれ、読んでもらうことで会社のことを認知してもらえます。
会社の認知度を上げることは会社に興味を持ってもらう、またはファンを増やすことに繋がります。
さらにそれらはまだ就職・転職を検討していない潜在層へのアプローチにもなります。
潜在層だった人たちが顕在層へと変化したときに、選択肢の一つとしてこの記事を思い出してもらえたのであれば、採用広報における広報活動としての役割を果たせているのではないでしょうか。
②採用視点の役割
すでに求職している人たちからみると、インタビュー記事は会社を選択する材料の一つとなります。
「どんな人と一緒に働くのか」「社内でどんな取り組みをしているのか」など、インタビューを通じて理解を深めてもらうことで、記事に共感を持った候補者を集めることができます。
このあたりの具体例は、後程詳細を記載します。
数字からみたインタビュー効果
以下はインタビュー記事を掲載することで得られる主な効果です。
募集記事への流入増加
前述した①と②の視点から、募集記事からの直接流入に加え、インタビュー記事を経由した求職者の流入が見込めるため、単純に流入が増加します。
インタビュー記事の最後に、募集記事のリンクなどを掲載することで、その効果がより高まります。
以下の図は、SNS型採用媒体Wantedlyを利用した際のインタビュー記事と募集記事のPVをグラフにしているものです。(青:インタビュー及びブログ記事、水色:募集記事)
インタビュー記事(この中でいうとフィード)を掲載することで、連動して募集記事のPVが伸びていることが分かります。
反対に募集記事を新規アップすることで、会社のことを知るためにインタビュー記事のPVが伸びることもありますので、相乗効果が見込めます。
コンバージョンがアップ
インタビューを見てから応募する候補者は、すでにその記事に共感を得た上で応募をします。
インタビュー内容を見て、「自分と合わないな」を思って応募する人はいませんからね。
しかしここで大切なのは、採用したいターゲットが共感してくれる記事をつくることです。
ターゲットとインタビュー内容がズレると、想定していた母集団とは違った候補者が集まりかねません。
実際にインタビューと連動した募集記事とそうでない記事を比較したとき、PV数に対するエントリーのコンバージョンが10倍近く変わったものもあります。
SNSシェアで拡散しやすい
自分や知り合いがインタビューされた記事って、周りの人に見てもらいたいですよね。
TwitterやFacebookなどのSNSに自社の募集記事をシェアするより、インタビューのような読みものをシェアする方が心理的ハードルが下がります。
またSNSでの拡散は、募集を掲載している採用媒体のユーザー以外にも情報を届ける手段となるため、非常に有効です。
メッセージを届けたいターゲットは誰か?
インタビューを掲載することにおける効果はお分かりいただけたかと思います。
では、実際にインタビューはどのように制作すればよいのでしょうか。
インタビュー実施における3つのポイント
①ターゲットの設定
このインタビューは誰に読んでもらいたいですか?
ターゲットを明確することが、採用広報としての効果を最大にします。
例えば、「人事担当を採用したい」となった時、新卒学生と人事責任者では読みたいと思う興味対象も変わってくるでしょうし、共感を持ってもらいたい視点も変わってくると思います。
まずはターゲットを掘り下げることで、インタビューの方向性を決めていきます。
②ゴールを決める
インタビューを読んだ人に、どう感じてもらいたいですか?
「この人と一緒に働きたい!と思ってもらいたい」なら、インタビュー対象の人柄が分かるような内容を盛り込むのもいいと思いますし、「事業内容を正しく理解してほしい」でしたら、事業理解が深いメンバーのインタビューを実施した方がよいですよね。
読んでほしいターゲットがその記事を読んでどうなってほしいかをイメージしたうえで、事項のインタビュー内容を検討してみましょう。
③インタビュー対象の選定とヒアリング項目の作成
上記が決まったら、インタビュー対象を選定し、何を聞くか項目を決めておきましょう。
たとえば、今までの①、②を踏まえて、新卒学生を例に以下を作成してみました。
インタビュー対象は、学生から見てあまり遠すぎず、入社後のイメージをしやすい入社3年目の先輩社員を選定しました。
ヒアリング項目は以下のような位置づけをしています。
1)この会社に入社を決めた理由
→会社の魅力を伝える
2)学生時代はどのようなことに打ち込んできたか?
→自分と人物像を重ねることで、自分でも応募できると感じる
3)入社してから今までの仕事内容
→総合職として入社するとどのようなキャリアステップがあるかを明示
4)現在の仕事のやりがいや課題
→いいところ、困難なところを含めて仕事に対する興味を持ってもらう
5)今後の目標
→自分だったら、と将来のイメージと重ねてもらう
このように質問に意味を持たせることによって、ターゲットやゴールからズレていくことは少なくなります。
インタビュー対象と一度内容を事前に打ち合わせしてから、インタビュー本番に望んでもよいかもしれません。
採用広報だけじゃない、インタビューの効果
採用広報における効果と実践方法をお伝えしてきましたが、実はインナーブランディングにもインタビュー記事は効果的です。
採用に活用するインタビューは、自社の企業文化やビジョン・ミッション、トップからのメッセージを載せることが多いです。
これらは自部署だけではなく、他部署が何をしているのかが理解できたり、会社のメッセージを確認する場にもなります。
また、個人個人がこのメッセージを発信することによって、結果的に潜在層のターゲットにリーチ(採用プールの育成)に繋がります。
採用広報活動とインナーブランディングを同時に実施できて、まさに一石二鳥ですね。
インタビューを通じて積極的に発信して、効果的な採用広報活動を!
通常の業務が忙しいと、なかなか社内の方のインタビューを実施するのはハードルが高いかもしれません。
しかしながら、同じ仲間を採用するためのインタビューにおける効果をきちんと理解いただき、会社全体を巻き込むことでその効果は倍増するはずです。
ぜひみなさんも採用広報活動におけるインタビュー実施を検討してみてはいかがでしょうか?