「気付けば従業員もそろそろ50人…。」
労働関連法に基づき人事・労務担当者が準備を進めないといけない事項をご存じですか?
この準備を怠ると、労基署から是正勧告、ひいては行政処分を受けることとなります。50人を超えると、労基署の訪問の可能性も高まります。従業員が50人に近づいてきたら、下記のことを進める準備をしていきましょう。
【労働安全衛生法関連の事項6つ】
①健康診断の結果の報告
常時50人以上の労働者を使用する事業者は、定期健康診断を行った場合、
その報告書を所轄の労働基準監督署に提出するよう義務づけられています。
(労働安全衛生規則第52条健康診断結果報告)
よって、今まで1年に1度の健康診断実施⇒保管だけだった作業に、労基署への報告が新しい手続きとして加わります。
②ストレスチェックの実施・報告
常時50人以上の労働者を使用する事業者は、医師、保健師等によるストレスチェックの実施及び、高ストレス者に該当する労働者から申し出があった場合、医師による面接指導の実施が義務付けられています。
(労働安全衛生規則第66条10心理的な負担の程度を把握するための検査等)
③で選任する産業医等と連携して進めるといいでしょう。
検査は、医師等の監督の元このようなフリーのサービスを利用しても実施が可能です。

手続きの詳細は
厚労省ページからご覧ください。
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/150709-1.pdf
③産業医の選任
常時 50 人以上の労働者を使用する事業場においては、事業者は、産業医を選任し、労働者の健康管理等を行わせなければならないこととなっています。
(労働安全衛生規則第13条産業医等)
従業員が50人を超えた日から14日以内の選任・届出が必要です。
50人が見えてきた段階で、早めに産業医の選定を進めましょう。
ここでの産業医は、嘱託でOK。
選定は、紹介、企業向け健康管理サービスを利用する、健康診断実施機関で契約する、などの方法が考えられます。
④衛生管理者の選任
常時50人以上の労働者を使用するすべての事業場で、労働者数に応じた人数の衛生管理者を選任し、衛生に係る技術的事項を管理させなければならないこととなっています。
(労働安全衛生規則第12条衛生管理者)
こちらも、従業員が50人を超えた日から14日以内の選任と届け出が必要です。
一般的に人事担当者が資格取得の上、担当することが多い業務です。
資格取得には時間を要しますので、資格所持者がいない場合は早めに準備しましょう。
衛生管理者の概要&取得方法はこちら
⑤衛生委員会の設置
常時使用する労働者が50人以上の事業場(全業種)で、衛生委員会の設置と、月1回の実施が義務付けられています。
(労働安全衛生規則第18条衛生委員会)
衛生委員会のメンバーは以下の通り。③④で選任した産業医、衛生管理者の出番です。
1 総括安全衛生管理者又は事業の実施を統括管理する者等(1名)
2 衛生管理者
3 産業医
4 労働者(衛生に関する経験を有する者)
⑥休養室の設置
事業者は、常時50人以上または常時女性30人以上の労働者を使用するときは、
労働者が臥床(がしょう)することのできる休養室または休養所を、男性用と女性用に区別して設けなければならないと定められています。
(労働安全衛生規則第618条休養室等)
従業員が急に体調をくずしたときに一時的に休ませたり、場合によっては救急車が来るまで待たせておくための場所をイメージしてください。会議室や更衣室などの個室を臨機応変に使い分ける企業が多いようです。
【2】その他1つ
⑦障害者の雇用義務(43.5人につき1人)
50人とは少しずれますが、こちらも同時期に準備をすべき事項です。
従業員が一定数以上の規模の事業主は、従業員に占める身体障害者・知的障害者・精神障害者の割合を「法定雇用率」以上にする義務があります。
(障害者雇用促進法43条第1項)
現在の法定雇用率は2.3%となり、従業員を43.5人以上雇用している事業主は、障害者を1人以上雇用しなけければいけない計算となります。
こちらは、未達の場合行政指導が行われることがあります。
労働安全衛生法上の「常時雇用する労働者」のカウント方法
”50名”というのが、労務管理上、一つの節目となることがお分かりいただけましたでしょうか。
労働安全衛生規則によると、「常時 50 人以上の労働者を使用する事業場」には、パート、 アルバイト、派遣労働者も含まれる点に注意しましょう。
案外既に50人を超えていた、なんてことも…。
①雇用期間の定めのない者
②契約期間が 1 年以上である者
③契約更新により 1 年以上引き続き使用されている者
④契約更新により 1 年以上使用されることが予定されている 者であり、かつ、その者の 1 週間の所定労働時間が、当該 事業場において同種の業務に従事する通常労働者の 1 週間 の所定労働時間の 3/4 以上であること
各種労基署への報告の仕方
前項①~④の項目については、それぞれ労基署への報告が必要となります。
紙で報告
厚労省の帳票作成ページを利用するととても簡単です。
各項目を記入して、印刷して郵送するだけ。(③④については、別途免許の写し又は資格を証する書面などの添付が必要です)
控えが必要な場合は、郵送時申請書のコピーと返送用の切手付き封筒を添付しましょう。
2021年4月より代表・産業医の押印も不要となりました。
入力したデータを保存しておけば、翌年度はデータを書き換えるだけで簡単に提出できますよ。
電子申請で報告
e-Gov電子申請でも手続き可能です。
こちらは電子証明書が必要となりますが、電子で完結できる点がメリットです。
まとめ
50人を超えた際に対応する業務は、①~⑥まで労働安全衛生法に基づいたものとなります。衛生管理者資格の勉強は、①~⑥の対応に必要な事項を網羅した内容となっています。
50人が近づいてきた会社の人事担当者は、まず第二種衛生管理者の資格勉強から取り組むことで、その後の業務がスムーズに進むでしょう。
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